
非恋愛体質
第7章 蓮の事情
シッシッと追い払われ、俺は女を追いかける羽目になった。
外に出てしばらく走ると信号待ちをして泣いている女を見つけた。
「ミホ!」
「……えっ?」
「悪かった。ミホが悪いんじゃなくて、俺、誰かを好きになれないんだ。だから、他に良いやつ見つけて幸せになってほしい。嫌な気持ちにさせてごめん。」
「……いいよ。正直に話してくれてありがとう。わかってたんだ。蓮くんが私を好きじゃないって。でも追いかけてきてくれて嬉しかった。やっぱり好きになってよかった。蓮くんも好きになれる人現れるといいね!じゃあね!」
そして信号は青に変わり、歩いて行ってしまった。
好きになってよかったか…
俺は妙にスッキリした気持ちになっていた。
誰かに嫌われることは怖くなかった。
でもあの人に言われた言葉が胸の中でこだましていた。
「自分のことも大切にか…」
てかお金払わずに店出てきてたわ。
戻るか…
そして来た道を引き返す。
カフェに着くと、あの人が俺の前にやってくる。
「どうだった?ちゃんと話できた?」
「はい、まぁ…」
「今度からは相手も自分も傷つけない恋愛をしないとね。」
そうやって微笑んだ笑顔がとてもキレイだった。
「コーヒー、飲んでけば?飲みかけだったでしょ?入れ直すからそこ座って待ってて。」
俺はカウンター席に案内され、コーヒーを入れる彼女の姿を見つめていた。
