センシティブ♥ボーイ
第27章 一人しかいない
「………」
「マサと何があったのかわからないけどさ、マサ、きっと…サトゥーから連絡来たら喜ぶと思うんだけどな…」
真由美さんのそんな言葉に、また涙が出そうになる。
なんで…そんなこと…真由美さんが言うの?
真由美さんが連絡したほうが、喜ぶに決まってる。
僕とは距離をとりたがってるのに。
「真由美さんが…したほうが…いいと思う…」
「……どうして…?」
「僕…僕……僕なんかより…真由美さんが……真由美さんが…っう…っ」
言っている端から涙がぶわっと溢れて、止まらなくなる。
真由美さんは急いでハンカチを取り出して、僕の涙を拭ってくれた。
「どしたー?」
アタフタとする真由美さんに気がついて、鶴橋くんも近くによってくる。
いつもだったら、こんな時に鈴木くんがいるのにな。
何泣いてんだって言いながら、優しく指で涙を拭ってくれるのに…。
今日はいない。
昨日もいない。
明日もいない。
もう、ずーっと、僕は鈴木くんの側にいることなんてできなくなってしまった。
もう、鈴木くんと……
唇を合わせて幸せな気持ちになることもないんだね
鈴木くん……
最後に…最後に…一度だけ。
鈴木くんに抱きしめてもらいたい。
鈴木くんにすきって言いたかった
もう僕たちは、きっと…
友達にも戻れないんだ。