センシティブ♥ボーイ
第27章 一人しかいない
「うーん。
崇史くんさ、これから先生が言うこと、信じてくれる?」
「は…い…っ」
ボロボロとこぼれる涙を、制服の裾でごしごしこする。
鼻水をすすると、先生がティッシュをくれた。
「まず…崇史くんがやらなきゃいけないことは、聖司を信じることかな」
「鈴木くん…を…しんじる」
「そう。聖司は確かに真由美ちゃんとあっていたかもしれないけどね、真由美ちゃんが好きだからっていうより、他に何か会う理由があるとしたらどうだろう。」
「他に…理由…?」
好きじゃないのに毎週毎週休みの日に会う理由。
全く思い浮かばない。
何か他に理由があるの…?
「会ってくれないのにも…理由がありますか…?」
「うん、会ってくれないっていうよりは、会えない。っていう方が正しいんだと思うよ」
「会えない…」
でもそれは真由美さんと会ってるから会えないんだ。
何か理由があって、真由美さんと会っていて…それがあるから、会えない…。
「せんせ…教えて…ください……鈴木くん…のこと……」
「あいつを信じてやってくれる?」
「は…い…っしんじ…信じます…っ」
鈴木くんに別れてほしいって言われるかもしれない。
続きを聞くのはとっても怖かったけど、僕は勇気を出して坂本先生に聞いた。
勇気を振り絞って答えを待つ。
先生はクスリと笑うと、にこやかに言った。
「あいつは…聖司はね…聖司は―――…」