センシティブ♥ボーイ
第30章 そっち?どっち
「かっこいいぜ。お前。」
「……さ、さんきゅー」
ぐっと身体を引っ張られて、抱きしめられる。
「どんな夢でも目標を持つってことはいいことよ。」
「…おう」
「私は…抵抗はないけど…。
世間から見たら…批判されることもあるのよ。
だから…女の人と付き合っていくよりも大変なことってあるかもしれない。…だけど…そういう大変な時こそ、苦しい時こそ一緒に過ごしていくのがパートナーだからね。聖司は崇史くんを大切にして守らなきゃいけない。」
「…うん…」
「だけど……忘れちゃダメよ。聖司ばっかり強くなきゃいけないわけじゃないの。聖司も崇史くんを頼らなきゃいけないよ?」
「…おう…」
俺よりあんたの方がかっけえよ。
その言葉は飲み込んだ。
母さんがいつになく真剣だったから。
「聖司かっこいいよ!もー健司さんみたいっ」
腕を緩めてそうはしゃぐと、俺の髪の毛を掻き上げた。
「雰囲気も…健司さんに似てきたね…若い頃にそっくり!」
「え…まじ…?」
「うんっ健司さんの方がかっこよかったけど」
「うっせ」
惚気かよ。
いつまでたっても母さんは父さんにベタ惚れで、父さんは母さんにベタ惚れだ。
帰ってくると惚気ばっかり。
まあ家族円満なのはいいことだ。
「さー!じゃあ今日は腕によりをかけまして、から揚げ作って差し上げますっ」
「俺がやるんで…やめてください…」
「たまにはおふくろの味を楽しんだら?!お母さんが可哀想とか思わないの?!」
「……鳥が可哀想…」
「っチッ」
※被害鳥が出る前に、自分でから揚げを作りました。