センシティブ♥ボーイ
第5章 佐藤のメガネ
「す、鈴木くん?」
無言で僕の手を引っ張って歩き続ける。
どこに向かっているのかわからなかったけど、取り敢えず足の長い鈴木くんには、僕は走らないと追いつけなくて。
息を切らして名前を呼ぶけど、手はずっとぎゅっと握られたまま何も反応を示してくれない。
何があったというのだろう。
僕、何かしちゃったのかな。
どうしようもない不安にかられる。
もしかして、大事な友達の鶴橋くんと、僕が話していたから気に食わなかったのかもしれない。
それか、僕と鈴木くんが仲が良さそうに見えるって言われて、喜んでいたのを見られていたとか?
それで、不快にさせたのかも。
バラされるとか脅されるとかそういう心配よりも、鈴木くんに嫌われてしまうことが、なんだか嫌だった。
いろんな不安過って、いつの間にか僕の瞳には涙が溜まっていた。