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小春食堂【ARS】

第30章 幸せ宅配便【雅紀】

娘さんは、何度も何度も頭を下げてお礼を言ってくれた。

俺は菓子折りをありがたくいただいた。

長年宅配便ドライバーやってるけど、さすがにこういったことは初めてだ。

この荷物は、北川さんの娘さんの感謝の心だ。

俺は毎日玄関先まで荷物を届けてサインをもらって帰る。
その先のことは、あまり考えたことはなかった。

ひとつひとつの荷物に、それぞれの思いがこめられている。

そう考えると、身が引き締まる思いがした。

一日の仕事を終え帰宅すると、ケンジが出張から帰って来てた。

「どうだった、中国は?」

「それより、どうだった、同窓会は?」

ケンジは、またあの歌を歌いだした。

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