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小春食堂【ARS】

第36章 約束の5日間【小春】

数度の休憩をはさんでスケッチは続けられた。

10分おきくらいにポーズを変えていく。

「手は椅子の肘置きにのせてください。」

大野さんはポーズを指示していく。
穏やかだが、意思の強い口調やった。

うちが、求められるポーズがのみ込めなかった時、大野さんが鉛筆を置きこちらへ来た。

うちの手をとり、肘置きに誘導した。

私のすぐ目の前には、大野さんの胸。

一瞬、抱きしめられるのかと錯覚した。

細く華奢なだけやと思っていた大野さんの体は、近くで見るとやはり男で。

細くても骨はしっかりしていて。

しなやかな腕には適度な筋肉がついていて。

少し見上げると、細い首筋にきれいな顎のライン。

少し突き出した唇。

伸びたTシャツからのぞく浮き出た鎖骨。

何より、大野さんは男の匂いがした。

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