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小春食堂【ARS】

第40章 再会【小春】

大野さんは、私を忘れていなかった。

ちゃんと覚えてくれていた。

そのあと、ふたりで思い出話を少しした。

美術館で会えなかった理由も話してくれた。

「小春さんは、何で東京に?」

その質問には答えずに、大野さんにお茶を入れた。

「京番茶だね。タケシんちいつもこれなんだよ。ほんと煙みたいな味だよね。」

大野さんは、お茶を飲み干すと、飾ってある絵をじっと見つめて言った。

「あのさ…。あの絵、外してくんない?」

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