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小春食堂【ARS】

第41章 これから【小春】

ランチタイムも一段落し、お店にお客は誰もいなくなった。

壁の白いあとはそのまま。

他の絵を飾る気にもなれず、そのままにしている。

店の戸が開く音がしたので振り替えると…

大野さんが立っていた。

「こんちは。」

眉を下げてふんわりと笑う。

「いらっしゃい。」

私は応える。

大野さんは、大きな風呂敷包みを持っていた。

「あのさ、これ…。」

ごそごそと風呂敷を開けると出てきたのは…

「この絵…。」

「そう、あん時の。」

そこには、美術館で見た大野さんの卒業制作の作品があった。

「スケッチは下手過ぎてさ、教え子にでも見られたら、俺立場ねーから。」

大野さんは笑いながら頭をかいた。

「代わりに、これ飾ってよ。」

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