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小春食堂【ARS】

第12章 マメに働け【和也】

実際、小春ちゃんの店はそこそこ流行っている。

看板もない路地の奥だから「知る人ぞ知る」という感じだが、ランチ時は、俺みたいに近くのビジネスマンやOLがやって来る。

メニューを日替わり定食に限定することで、食材も調理も無駄をなくし、一人でも切り盛りできるんだろう。

自分ができるキャパをよく理解し、その範囲内で最大限の仕事をしている…、という印象を受ける。

実際、小春ちゃんはよく働く。

愛想もいいし、客あしらいもうまい。

そして、有能な経営者だ。


「小春ちゃん、俺と結婚しません?」


小春ちゃんは、目を丸くして振り向き、ぽっと赤くなったと思ったら、恥ずかしそうにうつむいて言った。


「そんな、嬉しいわぁ…。来世では必ずな!」

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