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小春食堂【ARS】

第20章 ぶぶ漬け【潤】

「………。」


俺は、しぶしぶカウンターの席に着いた。


しばらくすると、魚の焼ける匂いがしてきた。
これは、鮭?


「はい、どうぞ。」


目の前に出されたお盆には、大きめの茶碗に盛られたご飯。ふんわりと湯気が立っている。
その上にはほぐした鮭とミツバ。
ワサビも添えられている。

小皿には柴漬け。

女主人は、急須から茶碗に熱いお茶を注いだ。


立ち上るほうじ茶の香り。

俺の腹が、グルグルと鳴り出した。

「あっ、いや、その…!」


俺は耳まで赤くなった。

女主人は、目を細めるとふふっと笑った。


「どうぞ。男の子は、しっかり食べなあかんで。」


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