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小春食堂【ARS】

第23章 バンパイア【潤】

「変なことなんか、してへんよ。店に入ってすぐ私にもたれかかって即ダウンや。」

「そう…。」



時間は深夜。

薄暗い店内。

厨房からもれる明かりが、小春ちゃんの白い顔にわずかに浮き上がらせる。

静かだ。

まるで、世界にはふたりだけしかいないように。


「小春ちゃん…。」


そっと小春ちゃんの手を握る。


「潤くん?」


「今日は来てくれてありがと…。」


握った手を優しく引き寄せた。
俺の胸に倒れ込んだ小春ちゃん。



その首筋に見つけた、赤い跡。

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