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小春食堂【ARS】

第23章 バンパイア【潤】

思い出した。

俺は、店に入ってすぐ、小春ちゃんの首筋にキスをした。

こんなにきつい跡が残るほど。

俺“何か”してるじゃん。


「首…。」

「あ、これね。潤くん、まだ舞台の余韻が残ってたんやね…。もう、びっくりしたわ。」


俺は、なんとも言えず胸を締め付けられた。

俺のキスは、小春ちゃんにとっては“無かったこと”にできるくらい、とるに足りないことなのか。

いつも俺ばっかり必死で。
小春ちゃんはいつも大人の余裕で俺をあしらう。

追いかけても追いかけても、小春ちゃんは俺の手を軽やかにすり抜けていく。

こんなに近くにいても、たまらなく遠く感じる。


「俺じゃ駄目か?」

「何言うてんの?」

「俺が年下だから?」

「何のことや?」


俺は、たまらず、小春ちゃんを抱きしめた。

あんなに焦がれた小春ちゃんが、俺の腕の中にいる。

俺は、小春ちゃんの髪を結んだシュシュをほどいた。
サラサラの長い髪がはらりとほどけた。



その長い髪にキスをしながら…



小春ちゃんを押し倒した。

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