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そんなある日――。

助役が千種と鳴海を呼んだ。

今日から新入社員の研修が始まるという。

彼は一宮 由多加。

素朴な感じの新入社員だ。

「はじめまして。一宮といいます。よろしくお願いします」

ハキハキと挨拶をした後、助役が千種を教育係に任命した。

「君の教育係となる柏森さんだ」


千種は複雑な表情をしながら由多加に挨拶した。

「柏森さんですか。よろしくお願いします」
由多加は千種の横に座ってもう一度挨拶した。




窓口がかなり混んでるため鳴海は遅れて来るらしく、千種一人で昼ごはんを食べていると、由多加がやって来た。


「すみません、ここいいですか？」

千種は黙って横に移動する。


おにぎりを食べながら由多加はある疑問を千種にぶつけた。

「柏森さん、付き合ってる人いるんですか？」


「いない…かなぁ」

コーヒーを一口飲んで遠くを見るようにつぶやく。

何でそんな質問をするのか気になるが、敢えて触れなかった。


コーヒーを飲み終えてから立ち上がろうとした千種に由多加がこんな事を言い出した。

「あ、星崎さんってかわいいですよね」

「……そうだな」

戸惑いながら返事するのが精一杯だった。

「彼女って付き合ってる人いるんですかね」

「さぁ……？」

由多加の質問に千種は知らないふりを決めこんだ。