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【S】―エス―01

第1章 第一部‐始の記憶‐

 
 ――もう、ずっと昔。


 僕らは通じ合えていた。目に映し、触れる全てのものを互いに共有していたんだ。


 僕が初めて見たのは、暗がりに揺らめく仄かな光だった。


 暗闇に幾度となく飛び交う蝶。それは、決して常人には見えない言の葉。


 宛てなき言の翅(は)が、ひらり、今日もまたひとつ。


《ねぇ……――》


 

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