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【S】―エス―01

第1章 第一部‐始の記憶‐

 

 誰かの呼ぶ声がした。


 鼓膜を震わせたびたび響くその声は、優しくて……でも、どこか寂しいもの。


 真っ暗で冷たい空間の中、その声だけが独りぼっちだった僕に安らぎを与えてくれた。


 けどある時、その安らぎを打ち消してしまうほどの声が、頭に響き渡る。


《――――目ざめろ!》


 君は、誰……?


 突き動かされるように重たい瞼を、僕は――



 

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