【S】―エス―01
第37章 傀儡
聞こえてきたのは瞬矢の声。その声に一度ちらと刹那へ視線を送り、そしてハロルドはくすりと笑うと、通話相手の瞬矢に向けて言った。
「やぁ、初めまして」
低く、どこかかしこまった、それでいて嘲るような声色で。
『――! ……ハロルド!?』
恐らく声から察したのだろう。向こうにいる瞬矢が、顔の見えない相手をハロルドと認識するまでさして時間はかからなかった。
ただ携帯から漏れ聞こえてくる声色には、驚きと焦燥の様子が窺える。
「ご明察。君の片割れは預かっているよ」
だが一方のハロルドは至って冷静であり、その落ち着いた口調も変わらない。
『な……っ!?』
ぷつり。一方的に通話を切り上げると携帯を放り、地面を擦り回転を加えたそれは刹那の足元でぴたりと止まった。
「さて――」
空いた左手がリンの肢体に触れ、ゆっくりと付け根に向かって散歩する。
「やめろ!」
「『やめろ』? 勘違いしてないか? 条件を呑むとは言った。だが……」
「やぁ、初めまして」
低く、どこかかしこまった、それでいて嘲るような声色で。
『――! ……ハロルド!?』
恐らく声から察したのだろう。向こうにいる瞬矢が、顔の見えない相手をハロルドと認識するまでさして時間はかからなかった。
ただ携帯から漏れ聞こえてくる声色には、驚きと焦燥の様子が窺える。
「ご明察。君の片割れは預かっているよ」
だが一方のハロルドは至って冷静であり、その落ち着いた口調も変わらない。
『な……っ!?』
ぷつり。一方的に通話を切り上げると携帯を放り、地面を擦り回転を加えたそれは刹那の足元でぴたりと止まった。
「さて――」
空いた左手がリンの肢体に触れ、ゆっくりと付け根に向かって散歩する。
「やめろ!」
「『やめろ』? 勘違いしてないか? 条件を呑むとは言った。だが……」