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【S】―エス―01

第7章 再会の旋律

 それは、西洋風のコテージを背景に笑顔を向ける幼い茜の写真だった。


「ひょっとしたらここにいるのかもしれない」


 目の前に差し出された写真を見る。裏面には、鉛筆文字で『茜 4歳。××山 コテージにて』と書かれていた。


「じゃあ、行ってみるか?」


「えっ?」


 驚いて目を見開く茜に、瞬矢は笑いながら顔の横で車の鍵をちらつかせる。


「免許、持ってたんだ」


「ま、一応な」


 山中に拓(ひら)けた土地が現れ、目の前に写真で見た西洋風の大きなコテージが窺える。まるで別荘のようだ。


 辺りを緑に囲まれたそこは、まさに避暑地と呼ぶにはもってこいな場所だった。


 コテージ前の駐車スペースには、白い乗用車が1台停まっていた。


「あっ! あれ、父の車!」


 車を停めると、茜は後部座席のドアを開け駆け出す。


 地面に最近ついた車輪の跡はなく、長期間この場にあることを想像させた。


 瞬矢は踵を返しコテージを眺め、階段の先にある玄関らしきものを見つけ歩み寄る。
 

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