【S】―エス―01
第7章 再会の旋律
――そして現在。
櫻井という男の残した言葉もそうであるが、なぜ警察が櫻井を逮捕に踏み切ったのか。そして早々の捜索終了。
自分への疑いが晴れたのは喜ばしいことだが、その反面、瞬矢は警察内部の体制に疑念を抱かずにはいられなかった。
瞬矢は今一度、訝(いぶか)しげに警察署の建物を振り仰ぐ。
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――7月16日。
事件に終止符が打たれてから早2ヶ月が経過し、至るところで蝉の鳴き声が聞こえるようになっていた。
街を行き交う人々にも半袖が目立つ。
「でも、やっぱり変よ」
夏休み前のテストも終わり、久々に顔を見せた茜が切り出す。彼女も例に漏れず夏物の制服に身を包んでいる。
「ん?」
「いくら自首してきたからって、証拠もないのに……」
どうやら茜も、瞬矢と同じことを考えていたらしい。
「まぁな」
しかしそのお陰で助かったのは事実であり、複雑な心中、瞬矢は曖昧な返事しか返せなかった。
「それでね、ひとつ思い出したの」
鞄から1枚の写真を取り出し見せる。