
【S】―エス―01
第2章 予兆
それが何故かは、瞬矢自身にも分からなかった。だが、そうせずにはいられず目の前の男たちに視線をやり、若い方の男の片腕を掴む。
更にその傍らを通り過ぎようとした40代の男に足を掛ける。
バランスを崩し地面に転倒した40代の男は瞬矢を睨みつけた。
「あぁ、ワリー」
再び煙草に口をつけると、溜め息と共に煙を吐き出し悪びれもせず言う。
それがよほど気に障ったのか、すぐさま立ち上がり同時に拳を振りかざす。
「――この野郎!」
放たれた拳を身を屈めかわし、そのまま2メートルほど飛び上がると右手で頭を掴み、軸にして背後から蹴り飛ばす。
一旦宙で体を捻り、続けてもう1人。
思わぬ攻撃に反応が遅れ、立て続けにガードレールへ倒れ込む。空中でそれを目視すると、瞬矢は涼しげな表情でふわりと着地する。
少女は、瞬きも忘れ口は半開きのまま、ただその光景を眺めていた。
「消えな」
冷ややかに発せられた言葉は、誰に向けられるでもない、限りなく独り言に近いものだった。
雑踏の中、後方で佇む少女の姿を横目に立ち去る。
**
更にその傍らを通り過ぎようとした40代の男に足を掛ける。
バランスを崩し地面に転倒した40代の男は瞬矢を睨みつけた。
「あぁ、ワリー」
再び煙草に口をつけると、溜め息と共に煙を吐き出し悪びれもせず言う。
それがよほど気に障ったのか、すぐさま立ち上がり同時に拳を振りかざす。
「――この野郎!」
放たれた拳を身を屈めかわし、そのまま2メートルほど飛び上がると右手で頭を掴み、軸にして背後から蹴り飛ばす。
一旦宙で体を捻り、続けてもう1人。
思わぬ攻撃に反応が遅れ、立て続けにガードレールへ倒れ込む。空中でそれを目視すると、瞬矢は涼しげな表情でふわりと着地する。
少女は、瞬きも忘れ口は半開きのまま、ただその光景を眺めていた。
「消えな」
冷ややかに発せられた言葉は、誰に向けられるでもない、限りなく独り言に近いものだった。
雑踏の中、後方で佇む少女の姿を横目に立ち去る。
**
