【S】―エス―01
第10章 化け物
◇
――201X年 10月21日。
時刻は午前11時35分を示し、半分ほど開けられたブラインドの裾から日の光が差し込む。
蛍光灯の明かりのもと、ソファに腰かけた瞬矢はメモリーカードの中身をパソコンに移す。
メモリーカードの中の映像に映っていた人物は、昔の自分を除き全部で5人。いずれもなんらかの形で研究に携わっていた。
(――ん? 『5人』……?)
そこで瞬矢は、初めて今まで見逃していた違和感に気づく。
確か研究者は中川、渡辺、六野の計3名で皆、体に【S】の文字が刻まれ殺されていた。
自殺した茜の父親を含めると計4名。だが、それでは人数が合わない。
――そう、1人足りないのだ。
殺された3人は東雲 暁の製薬会社の社員だった。ならば、名前も顔も分からぬ残る1人とはいったい誰なのか?
これから殺される人物なのか、それともすでに……。
「あと1人……か」
知らず独りごちたところで、静寂を打ち破るかの如き腹の虫にそれ以降の思考を遮られる。
――201X年 10月21日。
時刻は午前11時35分を示し、半分ほど開けられたブラインドの裾から日の光が差し込む。
蛍光灯の明かりのもと、ソファに腰かけた瞬矢はメモリーカードの中身をパソコンに移す。
メモリーカードの中の映像に映っていた人物は、昔の自分を除き全部で5人。いずれもなんらかの形で研究に携わっていた。
(――ん? 『5人』……?)
そこで瞬矢は、初めて今まで見逃していた違和感に気づく。
確か研究者は中川、渡辺、六野の計3名で皆、体に【S】の文字が刻まれ殺されていた。
自殺した茜の父親を含めると計4名。だが、それでは人数が合わない。
――そう、1人足りないのだ。
殺された3人は東雲 暁の製薬会社の社員だった。ならば、名前も顔も分からぬ残る1人とはいったい誰なのか?
これから殺される人物なのか、それともすでに……。
「あと1人……か」
知らず独りごちたところで、静寂を打ち破るかの如き腹の虫にそれ以降の思考を遮られる。