【S】―エス―01
第11章 怪物の涙
◇1
――201X年 10月22日。
午前9時05分。
山中の道路沿いにある土の中から、男性の遺体が発見された。発見者は山裾に居を構える近隣住民。
本来この区域は香緒里たちの管轄外だったのだが、事件性がある為に動員され、現場検証に立ち会う。
立ち入り禁止の黄色いテープをくぐり、ブルーシートの奥へと歩を進める。独特の焼け焦げた臭いが鼻腔を突き刺す。
見たところ遺体の顔から肩の辺りまでは焼け爛(ただ)れ、人物の特定が非常に困難である。
顔と頸部以外に目立った外傷はなく、ただ入院患者服を身につけていた。
「殺し……ですか」
現場を見た香緒里は、飲み込み違えた薬が喉の奥で引っかかるような奇妙な違和感を覚えた。
もともと人通りが少ないとはいえ、なぜこのような人目につき易い場所へ遺棄したのか。
しかも遺体は仰向けに寝かされ、胸の上で両手を組まれていた。
本当に発見を遅らせたいのであれば、少しでも人目につかない山林の奥へ遺棄するはずだ。
「――! これは?」
――201X年 10月22日。
午前9時05分。
山中の道路沿いにある土の中から、男性の遺体が発見された。発見者は山裾に居を構える近隣住民。
本来この区域は香緒里たちの管轄外だったのだが、事件性がある為に動員され、現場検証に立ち会う。
立ち入り禁止の黄色いテープをくぐり、ブルーシートの奥へと歩を進める。独特の焼け焦げた臭いが鼻腔を突き刺す。
見たところ遺体の顔から肩の辺りまでは焼け爛(ただ)れ、人物の特定が非常に困難である。
顔と頸部以外に目立った外傷はなく、ただ入院患者服を身につけていた。
「殺し……ですか」
現場を見た香緒里は、飲み込み違えた薬が喉の奥で引っかかるような奇妙な違和感を覚えた。
もともと人通りが少ないとはいえ、なぜこのような人目につき易い場所へ遺棄したのか。
しかも遺体は仰向けに寝かされ、胸の上で両手を組まれていた。
本当に発見を遅らせたいのであれば、少しでも人目につかない山林の奥へ遺棄するはずだ。
「――! これは?」