【S】―エス―01
第11章 怪物の涙
香緒里が着目したのは、被害者男性が着ている青い患者服の襟元についた小さな円形の染み。
だが見たところで何か分かる訳もなく、ひとまず付着した染みの分析結果を待つことにした。
――翌日、午後1時20分。
捜査本部の置かれた一室。香緒里は自分のデスクでここ数ヵ月を振り返る。
この【S】に関わる事件はまだ終わっていないんじゃないか、心のどこかでそんな気がしていた。
だが、そんな香緒里の思考を一瞬にして打ち消したのは、勢いよく部屋のドアを開けその後飛び込んできた山田の一声だった。
「染みの分析結果が出ました!」
それを聞き、香緒里はガタリと荒々しく椅子から立ち上がる。
「っ、どうだったの!?」
デスクから身を乗り出し、入り口に立つ山田のもとへ向かい訊ねた。
ところが山田は、一旦持っていた【染み】の分析結果が記された紙に目を落とし冴えない様子。
「それが――」
初めは意気揚々、血気盛んに駆け込んできた山田だったが、結果を訊かれ視線を逸らしながら半目し、妙に言葉を濁す。
焦れた香緒里は分析結果が書かれた紙を横取りひとしきり目を通すと、その内容に眉をひそめ呟く。
「これって……」
だが見たところで何か分かる訳もなく、ひとまず付着した染みの分析結果を待つことにした。
――翌日、午後1時20分。
捜査本部の置かれた一室。香緒里は自分のデスクでここ数ヵ月を振り返る。
この【S】に関わる事件はまだ終わっていないんじゃないか、心のどこかでそんな気がしていた。
だが、そんな香緒里の思考を一瞬にして打ち消したのは、勢いよく部屋のドアを開けその後飛び込んできた山田の一声だった。
「染みの分析結果が出ました!」
それを聞き、香緒里はガタリと荒々しく椅子から立ち上がる。
「っ、どうだったの!?」
デスクから身を乗り出し、入り口に立つ山田のもとへ向かい訊ねた。
ところが山田は、一旦持っていた【染み】の分析結果が記された紙に目を落とし冴えない様子。
「それが――」
初めは意気揚々、血気盛んに駆け込んできた山田だったが、結果を訊かれ視線を逸らしながら半目し、妙に言葉を濁す。
焦れた香緒里は分析結果が書かれた紙を横取りひとしきり目を通すと、その内容に眉をひそめ呟く。
「これって……」