
【S】―エス―01
第11章 怪物の涙
それは近からずも遠からず、少なくともここ数ヵ月間でのこと。
過去の、特に10年前のスクラップ記事を棚から引っ張り出す。
だがそこには『ニイダ タケル』という名前など見当たらず、代わりにひとつの記事が目を引く。
それは小さな記事で、気をつけていなければ見逃してしまうほどのものだった。
『12月26日、見通しのよい十字路で男性が車に跳ねられ死亡。被害者の名前は新田 健(にった たける)40歳』
記事の隅に小さく載っていた新田 健の写真。左頬にある2センチメートル四方の湾曲した菱形の痣を、瞬矢はどこかで見た気がした。
何かに駆り立てられるように、再びパソコンで実験映像を再生し見直す。
「――やっぱり」
先ほど名前を確認した『ニイダ』という男の左頬に、同じような菱形の痣が見受けられたのだ。
もしやと思い、もう必要ないだろうと思っていた製薬会社の名簿を、机に仕舞ってあったファイルの中から探り出した。
そのまま椅子に腰かけ、ゆっくり目を通す。
「……いた」
――『仁井田 健』。
もしこの新田という男が偽名を使い『仁井田』と名乗っていたとすれば……。
過去の、特に10年前のスクラップ記事を棚から引っ張り出す。
だがそこには『ニイダ タケル』という名前など見当たらず、代わりにひとつの記事が目を引く。
それは小さな記事で、気をつけていなければ見逃してしまうほどのものだった。
『12月26日、見通しのよい十字路で男性が車に跳ねられ死亡。被害者の名前は新田 健(にった たける)40歳』
記事の隅に小さく載っていた新田 健の写真。左頬にある2センチメートル四方の湾曲した菱形の痣を、瞬矢はどこかで見た気がした。
何かに駆り立てられるように、再びパソコンで実験映像を再生し見直す。
「――やっぱり」
先ほど名前を確認した『ニイダ』という男の左頬に、同じような菱形の痣が見受けられたのだ。
もしやと思い、もう必要ないだろうと思っていた製薬会社の名簿を、机に仕舞ってあったファイルの中から探り出した。
そのまま椅子に腰かけ、ゆっくり目を通す。
「……いた」
――『仁井田 健』。
もしこの新田という男が偽名を使い『仁井田』と名乗っていたとすれば……。
