
【S】―エス―01
第11章 怪物の涙
◇2
同日、午後2時20分――。
瞬矢は残る1人が誰なのかを、パソコンに取り込んだデータを開き確認する。
あの時は気づけなかった何かを見落としてはいないか――。
しかし、当時のことを覚えていないとはいえ、自分自身が実験台にされる映像は何度見ても気分がよいものではない。
眉をひそめながら度々映像を見返しているうちに、瞬矢はふとあることに気づく。
「なんだ?」
場面は少年が薬品を射たれ、全ての物を弾いた時。ほんの一瞬だが映った名も知れぬ男のネームプレート。
それは、注意していなければ見落としてしまいそうなほどわずかなもの。瞬矢がそれを見つけたのは偶然だったのかもしれない。
画面へ顔を近づけ、ネームプレートにローマ字で書かれた名前を目を細め辿々しく読み上げる。
「ニイダ……タケル」
ネームプレートには漢字表記もされていたが、生憎映像がぶれている上に画質も粗く、ローマ字を読み取るのがやっとであった。
だが、どうやら茜の父親と殺された3人の他にいたもう1人の男の名前は『ニイダ タケル』というらしい。
(『ニイダ』……、どこかで聞いたような……)
同日、午後2時20分――。
瞬矢は残る1人が誰なのかを、パソコンに取り込んだデータを開き確認する。
あの時は気づけなかった何かを見落としてはいないか――。
しかし、当時のことを覚えていないとはいえ、自分自身が実験台にされる映像は何度見ても気分がよいものではない。
眉をひそめながら度々映像を見返しているうちに、瞬矢はふとあることに気づく。
「なんだ?」
場面は少年が薬品を射たれ、全ての物を弾いた時。ほんの一瞬だが映った名も知れぬ男のネームプレート。
それは、注意していなければ見落としてしまいそうなほどわずかなもの。瞬矢がそれを見つけたのは偶然だったのかもしれない。
画面へ顔を近づけ、ネームプレートにローマ字で書かれた名前を目を細め辿々しく読み上げる。
「ニイダ……タケル」
ネームプレートには漢字表記もされていたが、生憎映像がぶれている上に画質も粗く、ローマ字を読み取るのがやっとであった。
だが、どうやら茜の父親と殺された3人の他にいたもう1人の男の名前は『ニイダ タケル』というらしい。
(『ニイダ』……、どこかで聞いたような……)
