
【S】―エス―01
第12章 穿つ森
◇
――201X年 10月24日。
瞬矢の携帯に一本の連絡が入る。
「……ああ分かった」
しばらく黙って聞いていたが、たった一言相手にそう返し、携帯の終話ボタンを押す。
時刻は午後1時15分。あれから2日ほどして瞬矢の携帯電話に香緒里から連絡があり、報された内容は驚くべきものだった。
彼女曰く、東雲の家に『刹那』なる人物は確かにいた。だが、その内容には耳を疑うものがあり……。
事実を確かめる為、瞬矢はある場所へと向かう。
午後1時53分。
途中、パーキングエリアで煙草をくゆらせつつ遥か前方に聳(そび)える山をぼんやり眺め、電話越しに聞いた香緒里の言葉を思い出していた。
『東雲家に刹那って名前の子がいたのは確か。けれど――』
遺体が発見されたのは、目の前に聳える山の麓(ふもと)。もしも彼女の話が本当ならば、あの山の中腹辺りに【それ】はあるはずだ。
目的の場所に向けてすうっと吐き出した紫煙が、大気中に分散されやがて跡形もなく溶け込む。
瞬矢は満足げにその始終を見届け煙草の火を消すと、運転席へ乗り込みパーキングエリアを後にする。
――201X年 10月24日。
瞬矢の携帯に一本の連絡が入る。
「……ああ分かった」
しばらく黙って聞いていたが、たった一言相手にそう返し、携帯の終話ボタンを押す。
時刻は午後1時15分。あれから2日ほどして瞬矢の携帯電話に香緒里から連絡があり、報された内容は驚くべきものだった。
彼女曰く、東雲の家に『刹那』なる人物は確かにいた。だが、その内容には耳を疑うものがあり……。
事実を確かめる為、瞬矢はある場所へと向かう。
午後1時53分。
途中、パーキングエリアで煙草をくゆらせつつ遥か前方に聳(そび)える山をぼんやり眺め、電話越しに聞いた香緒里の言葉を思い出していた。
『東雲家に刹那って名前の子がいたのは確か。けれど――』
遺体が発見されたのは、目の前に聳える山の麓(ふもと)。もしも彼女の話が本当ならば、あの山の中腹辺りに【それ】はあるはずだ。
目的の場所に向けてすうっと吐き出した紫煙が、大気中に分散されやがて跡形もなく溶け込む。
瞬矢は満足げにその始終を見届け煙草の火を消すと、運転席へ乗り込みパーキングエリアを後にする。
