【S】―エス―01
第14章 闇を照らす光
◇1
――201X年 10月25日。
午後3時40分。
瞬矢は、茜の母親がいる病棟へと通じるエレベーター内にいた。
上へと上昇するエレベーターのランプを見つめながら、様々な考えを巡らす。
全ては、真実を知る為。
エレベーターを降り左へ曲がる。
詰め所で名前を記帳した際に、看護士の不思議なものでも見るような反応が多少気になりはしたが……。
落ち着いた色調で統一された廊下は、何度目かの光景。
慣れとは恐ろしいものである。
以前までは不快極まりなかった白い空間、消毒薬の匂い、白衣を着た人をもいつの間にやらなんの嫌悪も抱かず踏み込めるようになっていた。
それも全ては、瞬矢自身が昔、それと条件をほぼ同じとする場所にいた事実を知ってしまったからなのか。
4人部屋の病室へ入ると、窓際のベッドにいた彼女が気づき、にこりと微笑む。これももう、何度目かの光景。
「さっきまで茜が来てたのよ」
傍らには折り畳み式のパイプ椅子が置かれたままになっていた。
茜とは、あれ以来会っていない。
「……そうですか」
――201X年 10月25日。
午後3時40分。
瞬矢は、茜の母親がいる病棟へと通じるエレベーター内にいた。
上へと上昇するエレベーターのランプを見つめながら、様々な考えを巡らす。
全ては、真実を知る為。
エレベーターを降り左へ曲がる。
詰め所で名前を記帳した際に、看護士の不思議なものでも見るような反応が多少気になりはしたが……。
落ち着いた色調で統一された廊下は、何度目かの光景。
慣れとは恐ろしいものである。
以前までは不快極まりなかった白い空間、消毒薬の匂い、白衣を着た人をもいつの間にやらなんの嫌悪も抱かず踏み込めるようになっていた。
それも全ては、瞬矢自身が昔、それと条件をほぼ同じとする場所にいた事実を知ってしまったからなのか。
4人部屋の病室へ入ると、窓際のベッドにいた彼女が気づき、にこりと微笑む。これももう、何度目かの光景。
「さっきまで茜が来てたのよ」
傍らには折り畳み式のパイプ椅子が置かれたままになっていた。
茜とは、あれ以来会っていない。
「……そうですか」