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【S】―エス―01

第17章 困惑

 
 ぞくり、背筋に言い知れぬ寒気が走る。


 しかも、数字が書かれていたのはそのひとつだけではなく、他の骨にも同様の文字列が描かれていたのだ。


 初めは黒いマジックか何かで直接書かれているのかと思ったが、違った。意図の見えない数字の羅列は、もとから綺麗に印刷されているかのようであった。


 ――刻印のように。


 その数字はどれもばらばらで、中には他よりも明らかに小さい、恐らく子供の物とも思える骨も混じっている。


 突然、辺りにぱあっと光が差す。


 ヘッドライトと思われるそれは、だいぶ離れた場所から木の幹を照らすように差していた。だが、明かりひとつないこの暗闇を照らすには十分すぎる光だった。


「おめでとう」


 次いで聞こえたのは、抑揚のない飄々(ひょうひょう)とした男の声に単調な拍手。


 瞬矢は、はたと振り返って声のする方を仰ぎ見た。眩い光が視覚を刺激して顔をしかめる。


「――!」


 視線の先、そこには……。


 

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