テキストサイズ

【S】―エス―01

第17章 困惑

 そして暗闇に輪粉を煌めかせひらりと舞う真っ暗な翅の蝶と、反響する声。


 瞬矢は思う。導かれたのかもしれないと。


 そして、まだわずかだが表面にかかっている赤黒い土を左手で軽く払う。


「あれ……っ?」


 当初はただ土を被っているだけかと思われたが、どうやら違ったようだ。瞬矢は、それを持っていた懐中電灯の明かりで照らしてみる。


 いくら払っても取れないその黒い模様は、文字のような記号のような羅列でこう書かれていた。




 ――【2005122203】。



 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ