【S】―エス―01
第24章 兄弟
それは昔、屋敷の屋根裏部屋で窓の外に羽ばたく揚羽蝶を眺めながら、刹那が瞬矢に向けて言ったもの。それと全く同じ台詞だった。
最早、床とは呼ぶに耐えない様相となったそこに再び胡座をかいて瞬矢は瞑目し、刹那もまたその身を横たえたままそっと瞼を閉じた。
やがて瞬矢からは水色の光が、刹那からは淡い桜色の光が発せられる。
2色の光は直径4メートルの間隔を保ち、立体的な丸い円を描きながら上昇する。
そしてそれは、彼らの頭上にたゆたう新たな次元をぐるりと取り囲む。
《――いいか、刹那?》
先んじて思念を送ったのは瞬矢。
《――ああ。分かってるよ》
桜色の淡い光が強弱し、瞬矢のそれに呼応する。他の誰にも真似できない、彼らだけのコミュニケーション方法。
臨界を迎えた壁、天井、そして床が、亀裂部分よりがらがらと崩れ落ちる。
だがそれらは落下することなく、瞬矢たちを取り巻く光へ引き寄せられ飲み込まれた。
2人から生じた淡い水色の光と桜色の光が彼らを包み込むように空気中で混ざり合い、やがてそれは全ての始まり、または終わりを示す眩い閃光となる。
全てが弾けた。
一閃と共に闇へと帰す。
最早、床とは呼ぶに耐えない様相となったそこに再び胡座をかいて瞬矢は瞑目し、刹那もまたその身を横たえたままそっと瞼を閉じた。
やがて瞬矢からは水色の光が、刹那からは淡い桜色の光が発せられる。
2色の光は直径4メートルの間隔を保ち、立体的な丸い円を描きながら上昇する。
そしてそれは、彼らの頭上にたゆたう新たな次元をぐるりと取り囲む。
《――いいか、刹那?》
先んじて思念を送ったのは瞬矢。
《――ああ。分かってるよ》
桜色の淡い光が強弱し、瞬矢のそれに呼応する。他の誰にも真似できない、彼らだけのコミュニケーション方法。
臨界を迎えた壁、天井、そして床が、亀裂部分よりがらがらと崩れ落ちる。
だがそれらは落下することなく、瞬矢たちを取り巻く光へ引き寄せられ飲み込まれた。
2人から生じた淡い水色の光と桜色の光が彼らを包み込むように空気中で混ざり合い、やがてそれは全ての始まり、または終わりを示す眩い閃光となる。
全てが弾けた。
一閃と共に闇へと帰す。