テキストサイズ

【S】―エス―01

第25章 白日のもとに

 ぽつり独りごちて、細めた黒い双眸にどうか柔和な光を宿し、静かに口元を緩める。


(今度は俺が待つ番だな。お前の目が覚めるその時まで)


 これからも彼は、こうして眠り続ける刹那に語りかけるだろう。


 自分があの暗い場所で彼の声を聞き、目覚めた時のように、いつかは彼にも届くと信じて。


 彼らしかいない病室に、『彼ら』にしか分からない言霊が飛び交う。




     **

ストーリーメニュー

TOPTOPへ