
【S】―エス―01
第29章 S‐145
4月3日。再びネッカーシュタイナハから沿線を通り、シャーデック城近辺へ――。
対岸の城から遠巻きに見たところ、警備員が2時間ごとに交代し見回っているようだ。少年のいる地下通路へ行くには、あの場所を通らなくてはならない。
時刻は午前3時16分。
行動開始まであと1時間余り。対岸に位置する城の中、明かり取りに肩肘をつき目的の場所を眺めながら今しばらくぼんやりと時を過ごす。
**
――時は、半日ほど前。
「明日、実行に移すよ」
昼下がりの暖かな光が窓から差し込む306号室の部屋で、深く何度と重ねた唇を離し、ひと呼吸置いて刹那は言った。
「そう。楽しみね」
つり上がった口元からふっと笑みを溢し、「どうなるかしら」そう鼻先で囁いた彼女は再度、軽く啄(ついば)むように唇を食む。
タイトスカートの端からすらりとした肢体が伸び、片方の膝をベッドの縁に預け視線を絡ませる。
「まだ何か……知ってるんだろ?」
刹那は半目した瞳で視線を絡めたまま、彼女の頬に右手を伸ばす。
対岸の城から遠巻きに見たところ、警備員が2時間ごとに交代し見回っているようだ。少年のいる地下通路へ行くには、あの場所を通らなくてはならない。
時刻は午前3時16分。
行動開始まであと1時間余り。対岸に位置する城の中、明かり取りに肩肘をつき目的の場所を眺めながら今しばらくぼんやりと時を過ごす。
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――時は、半日ほど前。
「明日、実行に移すよ」
昼下がりの暖かな光が窓から差し込む306号室の部屋で、深く何度と重ねた唇を離し、ひと呼吸置いて刹那は言った。
「そう。楽しみね」
つり上がった口元からふっと笑みを溢し、「どうなるかしら」そう鼻先で囁いた彼女は再度、軽く啄(ついば)むように唇を食む。
タイトスカートの端からすらりとした肢体が伸び、片方の膝をベッドの縁に預け視線を絡ませる。
「まだ何か……知ってるんだろ?」
刹那は半目した瞳で視線を絡めたまま、彼女の頬に右手を伸ばす。
