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【S】―エス―01

第29章 S‐145

 シャーデック城には、地下へと続く入り口など見当たらなかった。にも関わらず、彼女は少年が城の地下にいるということを知っていた。


 だからこそ、行き着いた考えである。


「実はね、秘密の抜け道があるの」


 伸ばしたその手を取り、口元にかすかな微笑を湛えてそう嘯(うそぶ)く。そして指先を、端から1本ずつ愛撫する。


「抜け道?」


 視線を合わせ、愛撫を続けるリンを見つめたまま首を傾げて訊き返す。


「ええ。知りたい?」


 捕らわれた指先が顎を下り、ゆっくりと首筋、鎖骨、胸と順番に彼女の体の線を準える。


「ああ、是非とも」


 彼女の問いかけに、刹那は自身の指先を目で追う。そして、それが腰の辺りまで下りたところでくるりと反転、滑らせながら答えた。


「は……ぁっ」


 準える指先が下腹部へと達し、肢体の間へ。開いた口の隙間から色づいた息が漏れ出る。


 同時に彼女は掴んでいた手を離し、自身の両腕を刹那の首に巻きつけながら耳元に唇を寄せ囁いた。


「もっと……奥……」


 恍惚感あふれる吐息と共に紡がれる言の葉は、更なる情欲を掻き立てる。
 

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