
【S】―エス―01
第32章 原点
◇1
――201X年 8月3日。
午後2時15分。
外は昨晩までの曇天が嘘のように青空を湛えていた。その為か、森の奥から聞こえる蝉の声も輪をかけて賑やかだ。
昨日の一件で本当ならばすぐにでも咲羅の後を追いたいところだが、刹那曰く、日本を発つ前にもう一度あの場所へ行き確認したいことがあるらしい。
「原点回帰さ」
玄関付近でポケットに携帯を仕舞う刹那は、昨日とは打って変わり、そうにこやかに語る。
自分たちの原点、オリジナルの『刹那』……それは同時に咲羅の原点でもあった。
なぜこのような話になったのか。その経緯を語るにあたり、時を少しばかり……そう、およそ2時間ほど前まで巻き戻してみよう。
約2時間前――。
居間にある、窓側の椅子に腰かけた瞬矢は煙草をくゆらせる。昨日と打って変わった刹那の穏やかな様相に「追わなくていいのか」と問うと、
「勿論、咲羅は連れ戻す。でもその前に、確認したいことがあってね」
同じく別の椅子に腰かけ、決意も固くそう語る刹那。
「確認したいこと?」
――201X年 8月3日。
午後2時15分。
外は昨晩までの曇天が嘘のように青空を湛えていた。その為か、森の奥から聞こえる蝉の声も輪をかけて賑やかだ。
昨日の一件で本当ならばすぐにでも咲羅の後を追いたいところだが、刹那曰く、日本を発つ前にもう一度あの場所へ行き確認したいことがあるらしい。
「原点回帰さ」
玄関付近でポケットに携帯を仕舞う刹那は、昨日とは打って変わり、そうにこやかに語る。
自分たちの原点、オリジナルの『刹那』……それは同時に咲羅の原点でもあった。
なぜこのような話になったのか。その経緯を語るにあたり、時を少しばかり……そう、およそ2時間ほど前まで巻き戻してみよう。
約2時間前――。
居間にある、窓側の椅子に腰かけた瞬矢は煙草をくゆらせる。昨日と打って変わった刹那の穏やかな様相に「追わなくていいのか」と問うと、
「勿論、咲羅は連れ戻す。でもその前に、確認したいことがあってね」
同じく別の椅子に腰かけ、決意も固くそう語る刹那。
「確認したいこと?」
