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【S】―エス―01

第5章 接触

 その際、走り抜けた妙な感覚。だが瞬矢のそれとは違い、霞(かすみ)がかりどこか曖昧ではっきりとしない。


 刹那が如何にして瞬矢の養父母のことを知り得たのかは謎だ。


 ただひとつ言えるのは、その腕時計に彫られた【S‐06】というシリアルナンバーに妙な懐かしさを覚えたことだった。




 ――同日、午後11時。


「さて、と。そろそろかな」


 闇夜を映す全面ガラス張りの建物を見上げ、1人の青年は呟く。




 

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