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少女グレイスと森の魔女

第3章 来訪者

10『老婆』


「知らねぇな。
他をあたんな婆さん」

人々が行き交う雑踏の中で誰かがそう言った。







「グレイス、朝ごはんを食べ終わったら買い物に行ってきておくれよ」


「はーい」


「はて?今日はやけに上機嫌だねぇ」



グレイスは軽い足取りで石畳の道を歩いてゆく。


グレイスが少し先の方を見やると少し変わった光景を目にした。


いつも暇そうにしている占い師だが、今朝は頭巾の付いた深緑のローブを着た老人と話をしているではないか。



お客さんだろうか?



老人は頭のてっぺんから足元までローブで覆われていて杖をついていた。


近付くたびに2人の会話の内容が聞こえてくる。




「占ってもらいたいのだがね」


「はいはい、何を占いましょう?」


「私の大事な宝石が盗まれてしまってねぇ。盗んだ犯人を探してほしいのだよ」

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