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１３『町長さん』


グレイスは立ち上がって服の汚れを払い落とす。


｢ごめんなさい、考え事をしてて…｣

パン、パン、


あ、この人は昨日のヒゲの人…





｢怪我はないかね？｣


｢ええ…、大丈夫です｣


｢そうかい、気をつけるんだよ｣


｢はい…｣


ヒゲの男はさっそうと歩いていった。



あの人は誰なんだろう…？

そう思いながらグレイスは市場へと向かった。






｢いらっしゃい｣

｢これとこれを下さいな｣

｢あいよ｣








｢ただいま｣


｢ああ、お帰り。
ごくろうさん｣


家に戻ったグレイスは母に聞いた。

｢母さん、あのね…｣








｢ヒゲの…？ふーん…
あー、新しい町長さんじゃないか。覚えておきな。
次からは会ったらきちんと挨拶するんだよ｣



コン、コン…


誰かが家の入口のドアをノックした。