テキストサイズ

少女グレイスと森の魔女

第3章 来訪者

16『母と娘』


「森の中に祭壇があって、そこにこの宝石が置いてあったの。それを私が…

それで今日、知らないお婆さんがこの町にやってきて自分の宝石が盗まれたって言ってて…」



グレイスから見る母はとても冷静だった。


「森に祭壇が?
魔女がいるって話は本当だったんだね。
なんのための祭壇か知らないけれど、もう関わらないほうがいいね」



母は宝石を持ってドアに向かった。

「グレイス、あんたはここに居な。母さんが話をつけてくるから」


「あ、あの!さっき…」


立ち止まって振り返る母。

「うん?」


「お婆さん、また来るって言ってたよ」


「ふうん?
あんたに当たりをつけているんだね」


母は少し考え込み、憤った表情を見せたあとに、呆れたようなため息をした。

「グレイス、二度と自分の知らない物に触ったり黙って持ち帰ったりするんじゃないよ?」



……



「返事はー!?」


「は、はい!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ