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少女グレイスと森の魔女

第3章 来訪者

20『安穏』


部屋にいい匂いが漂いはじめた。



「こっちはもういいからグレイスも席にお座り」


「私、こっちに居たい」



母はにっこり笑って囁いた。

「もう心配いらないさ。お婆さんと話しておいで」



言われてグレイスはミルクを持ってしぶしぶテーブルにつく。



……




「あの…お婆さん、ごめんなさい。私…」



……



老婆は黙ってうつむいたまま、こっくりこっくりと微かに揺れている。



……



グレイスにはずっと気になっていたことがあった。

それを老婆に向かって静かに聞いてみた。


「お婆さんは…
魔女なのですか?」


母も顔を少しだけ向けた。



……



「んあ…?
魔女なもんかい…」

老婆はグレイスの声で起きたようだ。


「あたしゃこれでも貴族の家柄だったんだよ。今じゃこんなだけれどね」


「あたしに残されたのはこれだけさ」

老婆は宝石を見せた。

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