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少女グレイスと森の魔女

第5章 クレア

28『クレアの嗅覚』


「ねえ、グレイス
そんな風に黙ってるのって良くないと思う。置き物じゃあるまいし」



グレイスは押され気味だった。

「う…うん」



クレアの目は自然とグレイスの服のポケットに向いていた。



「……
あー!何か入ってる!何が入っているの?」


クレアはポケットを指さした。



……!?



少し不審なグレイスの反応を見たクレアは益々興味をそそられた。



「何を持っているの?
ちょっとだけ見せてよ。

ねえったら」




クレアは他人のこととなるとやたら鼻が利く。

特に人の弱みだとか

そして何が嫌かって、すぐに騒ぎ立てるのだ。


今もクレアはとても活き活きとした顔をしている。


そして、それは途端に驚きの表情へと変わる。




「何これ!?宝石じゃない!
エメラルドの中に…これはルビーかしら?

これどうしたの?」

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