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少女グレイスと森の魔女

第1章 少女グレイス

4『髭の男』


グレイスが石畳をさらに歩いてゆくと、見たこともない男があちらから歩いて来た。

男は丁寧に手入れされたヒゲを生やし、いかにも立派な肩書きを持っていそうな身なりである。


グレイスは立ち止まっていた。


男は足を止め、かぶっていた帽子を軽く持ち上げた。

「やあ、こんにちは。
…ん?どうしたね?」


グレイス
「こ、こんにちは」


グレイスは緊張から逃げるように足早に男の横を通り過ぎた。


「…」

ヒゲの男は黙ってグレイスを見送る。




そうしてグレイスがしばらく歩いていると、背後から人影が忍び寄って来た。


グレイスは気付いていない。


人影から手がのびる。

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