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少女グレイスと森の魔女

第1章 少女グレイス

5『少女クレア』


「わっ!」

大きな声と同時に背後からグレイスの両肩に手が置かれた。


グレイス
「わっ!」

グレイスは驚いて籠を落としてしまった。

振り返るとクレアが腹を抱えてクスクスと笑っている。


「ごめんなさい。
そんなにびっくりした?
ああ、可笑しい。グレイスったら猫みたいに驚いて」


クレアは笑いながら落ちた籠を拾い、グレイスに手渡した。


「急ぐので失礼っ!」

籠を受け取るとプイッと顔を背けてグレイスは歩き始めた。


クレア
「ああん、待って待って。ねえねえ、どこに行くの?」


グレイス
「森へ行くの」


クレア
「えっ、あなた本気で言ってるの?あそこには恐ろしい魔女がいるのよ。知らないの?」


グレイス
「魔女なんてただの噂にきまってるわよ。信じてるの?」


「だって大人たちはみんな言ってるじゃない!
お父様も言ってたわ!
どうなったって知らないから!」

そう言ってクレアはプイッと顔を背けて帰っていった。

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