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少女グレイスと森の魔女

第7章 夜の森のとばり

49『胸騒ぎ』


男は雨衣を持ってスタスタと裏口へと向かう。

「妙な胸騒ぎがするのだ。
行かなければならない、そんな気がするんだよ」



「そんなこと言って…本当は他の女のところへでも行くのでしょう?」



「…なにをバカなことを」


「だって、どう考えたっておかしいもの!」



男は溜め息をついて大きく首を振る。

「こんな時にそんなことを言うなんて…君はやはり疲れているんだよ」



それを聞いた女は押し黙って両の腕を手で抱き、体を小さく震わせ始めた。



男は突き放すような物言いをしてしまったことを後悔した。



「私は…
私に人並みな、青春なんて、、なかったわ…
どうか、、しない方が、おかしくなくって?」


男は慌てて女を抱きしめた。



「…すまなかった。
もういい、言わなくていいんだ…
…いいかい?
余計なことは考えずに寝ているんだ。いいね?」



「そう…どうしても、行くの、ね」



男は逃げるように無言で女を振り切って出て行く。


バタン


「あなたー!」



女はドアの前で崩れ落ちる。



「ああぁーーーー!
…あぁ、ううっく…」




「ゆる、さない…」

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