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６０『詰問』


｢あ…｣

グレイスは呼吸を整えて何か言おうとしている。



｢あなたはクレアに何をしたのですか？｣

グレイスは怒りに満ちた表情で聞いた。


｢待ちたまえ、聞いているのはこっちなのだが？
散歩にしては可愛い気がない。子供ならばもう寝ている時間だ。
君こそこの森に何をしにきたんだい？｣


男は明らかに相手を侮っている。



｢わ、私はただ…！
あなたは…
ずっと、あなたがこんなことしてきたのですか？
私の友達も…｣



ボサボサ頭だったグレイスの髪が今は雨でしっとりと濡れて肌にはりつき、その髪の間からのぞく怯えたあどけない眼差しを、男は何かを刺激されたようにじっと見つめている。



｢なるほど、キミはお友達を心配して探しに来たのか。だが何か誤解をしているようだね。大丈夫、これはおまじないだよ。こっちに来て確かめてみるかね？｣


男が言ったそれはまるで
これはお遊戯であるから心配はない
クレアはちゃんと生きている
と言っているように聞こえる。



グレイスは黙っていたが足は少しずつ前へと押し出された。

グレイスは、クレアがまだ生きているのかもしれないという思いを抱いたようである。