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経済財政愚問放談 その1

第4章 終身雇用とは?

それでは、何故終身雇用は潰えたのでしょうか?

その原因の一つはバブル期においてもてはやされた、トラバーユ・・・転職ブームです

より高い収入を目指して、転職を希望する労働者が増え、人手不足や他社との競争に勝ち残りたい企業が、より高待遇でヘッドハンティングする事が流行りました

経営者としても、人材教育の費用を掛けずに高い能力の人材が得られれば万々歳で、人材教育期間のコストを鑑みれば、最初から能力の高い人材をそれなりの待遇で雇った方が安上がりに成ったからです

しかも、他企業のノウハウを知る事も出来る訳で、一石二鳥です

この風潮がグローバリズムと結び付いて、終身雇用を過去の遺物と化してしまいました・・・

そして、終身雇用が付帯条件の年功序列も自然消滅して行く訳です

しかし、此処で問題が発生しました

有る特殊な技術職では、ヘッドハンティングで中途採用した労働者では代替えが効かない職種が出てきました

特に自動社業界なのですが、新車を開発する際や、特殊な手作りの生産車(ホンダのNSXやトヨタのセンチュリー)を制作する際に、熟練の板金工が必要なのですが、定年退職した技術者の技術がバブル期の転職ブームで継承されず、高度技術を持った板金工が居なくなってしまう事態が発生しました

マツダ自動車などは、退職した板金工を再雇用して技術者育成せざる負えなくなり、トヨタ自動車は専門学校を設立して高度技術者育成を始めました

そして現在は、こう言った高度技術者や高度人材は正社員で雇用し、その他の代替えが効く職種では派遣社員や契約社員で景気動向に応じて解雇又は雇用する形態に成っております

キヤノンなどは、何と開発部門まで契約社員にしてしまい、労働争議にまで発展しました

この様なグローバリズム的雇用形態は、労働者の質を低下させ、技術伝承や技術開発に悪影響を及ぼし、そして何より労働者の雇用と収入を不安定化させ、消費者でも有る労働者から購買力を奪った訳です

良く、昔ほど自動車が売れない、家電が売れない、家具が売れない等と言われますが、そもそも購買力を奪っているのだから当然の結果と言える訳で有ります

そもそも、景気が悪化し続ける社会構造に、日本は成ってしまった訳です

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