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経済財政愚問放談 その1

第4章 終身雇用とは?

「終身雇用」・・・ほんの30年前には極一般的に日本企業で採用されていた制度でした

若い人向けに解説すると、一度企業に入社したら、定年退職まで転職せずに一企業に勤め続ける事で、当時は何処の企業でも、一度採用した社員はそう簡単には解雇しませんでした

終身雇用の優れていた点は、勤め続ける事で仕事のノウハウが蓄積され、長期在職者から新人社員へと技術職に限らずノウハウが伝承される事です

そしてその事により、各社独自の運営方法が確立され。各々の企業の経営が効率化されて行きました

そして何より、「年功序列」を成立させる為には、長期雇用が絶対条件でした

高度経済成長期の日本は今のインドやタイやインドネシアの様に働けば生活が向上して行く高循環社会でした

特に日本の場合、戦前の軽工業品輸出(おもちゃ・衣料品等)から戦後政策において重工業(鉄鋼・自動車及び家電等弱電)主体に転換し成功を収めました

実は日本も工業技術的には航空母艦を世界で初めて実用化する等優れた面も有ったのですが、それだけに戦後GHQの占領政策により長らく鍋・釜日用品しか作れない期間が有りました

しかし。朝鮮半島で朝鮮戦争が勃発し、アメリカが自国で生産調達するよりも、日本でライセンス生産した方が安上がりな事から、弾丸やJEEP等戦略上極秘足り得ない軍需物資を日本に委託生産させました

これが朝鮮戦争特需です

韓国が主張する「日本の復興は朝鮮戦争のおかげ」は間違いで。朝鮮半島で内乱(代理戦争)が勃発した時”アメリカ”が日本に軍需物資を注文したから復興したが正しいのです

その後。例えば当時日産自動車はイギリスのオースチン社からライセンス生産の契約を結び、技術を習得して行きました

丁度今の新興国と同じ立場だった訳です

しかし、日本人の凄い所は、元々技術的基盤が有ったとは言え、それらの技術を自分の物とし、開発努力を続けた結果、今や弱電・自動車、最先端技術の分野で世界をリードする立場に成った事です

現在のグローバリゼーションによる新興国の好景気は、既に有る技術の生産拠点でしかなく、独自の技術開発努力が欠けています

技術開発には長い期間が掛かります

しかも必ずしも成功するとは限りません

しかし、無駄になる可能性が有っても続けなければ技術の蓄積は出来ません

その為にも、「終身雇用」は必要だったのです

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