山岸君と照井君
第39章 番外編②―――……
親戚には…頼れない…
子供を諦めることは…
微塵も考えなかった―――…
愛した人の子だから……
どうしても生みたかった…
心陽は…家を出て――――…
身重の体で働きながら……出産準備をしてきた―――…
そして……
あの日―――――――…
俺と出会った―――――…
「心陽は…お前が大好きだったんだよな―――――…
家族から…縁を切られても…
一心を…産むことを望んだんだから…
心陽は……いい女だ…俺が惚れたんだから……そうだろ?
昔から…天然で明るくて、しっかりしてて…美人だったか?
白黒ハッキリした性格で…自分の意見をちゃんと言う…裏表のない…可愛い子だったか?」
少し風がふき……
線香の煙が風に揺れた…
俺は…一心が生まれてからの数ヶ月しか…心陽を知らない…
悔しいが…お前と過ごした長い年月の心陽は知らない…
でも………初めてあったあの廊下で…
すでに…心陽に惚れていた俺は―――――…
これから…お前と心陽が過ごした時間より長く…共に居ることを誓った…
ざまぁ…みろ
「でも――――…心陽の根本的な性格や思いやり…明るさは……
翔…お前との人生が強く影響してるんだろうな……」
一心を抱きしめ……
敗北感を…染々……味わう…