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風景画

第32章  時雨月 ④




すれ違いながら

指先だけが微かに触れ

その一点が

痺れるように熱を持つ

そんな感覚だった



それは

ほんの一瞬の

ときめきのはずだった…



けれど

熱はたちまち体を駆け巡り

胸の奥 爪の先まで

狂おしく溶かしてしまう



そして今も

微熱に浮かされたままで…







(了)



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