風景画
第63章 poemtory 〜雪景色
〜 其の三 〜
雪が降り出した…
静寂が訪れる
降り始めの雪は
白くもならず消えるものを
まるで紗を被せるように
たちまち
あたりの輪郭を滲ませる
この雪は
自分が冷たい体やと
知ってはるのやろか…
足袋を履いた爪先から
這い上がる冷気は
帰り道を急がせる
足早に通り掛かる下駄の音と
軒下に佇む姿が
その場所で
束の間重なり合う
雪化粧の風の中
鮮やかに浮かびあがる濃紫が
時間をとめた…
どちらからともなく見つめ合えば
思いはあの日に還りゆく
気ぃつけてな…
…おおきに………!
声にならない言葉は
肩が触れるように交錯した
俯きがちに時間が流れはじめ
雪は
静かに降り続ける
(了)
雪が降り出した…
静寂が訪れる
降り始めの雪は
白くもならず消えるものを
まるで紗を被せるように
たちまち
あたりの輪郭を滲ませる
この雪は
自分が冷たい体やと
知ってはるのやろか…
足袋を履いた爪先から
這い上がる冷気は
帰り道を急がせる
足早に通り掛かる下駄の音と
軒下に佇む姿が
その場所で
束の間重なり合う
雪化粧の風の中
鮮やかに浮かびあがる濃紫が
時間をとめた…
どちらからともなく見つめ合えば
思いはあの日に還りゆく
気ぃつけてな…
…おおきに………!
声にならない言葉は
肩が触れるように交錯した
俯きがちに時間が流れはじめ
雪は
静かに降り続ける
(了)