風景画
第63章 poemtory 〜雪景色
〜 其の二 〜
お師匠はん…
呼び掛けられ我に返った
けれど
どこか借り着のように
いつまでも馴染まない言葉は
やはり私は異邦人なのだと
淋しくも、安堵させる
そして思い出す
あの日震えていた小さな少女を
降りかかる雪をはらうでもなく
軒下に佇む姿は
その時の自分と重なり
思わず傘を差し掛けていた
花街に憧れ
漸く一本になりはしたものの
水に馴染まぬ魚のように
息苦しい日々…
俯いたままの少女に
せめて待ち人が
早く来るよう祈りながら
ショールを着せかけた
…小さく、細い肩だった
それでも
手に残るほんの一瞬のぬくもりは
私の心に火を灯し
いつしか
この道を行く覚悟となった
折にふれ思い出すあの雪景色
待ち人は来たのだろうか
彼女の道は平らかだったろうか
その場所には
泣きたくて
泣けずに佇む二人が
今でも空を見上げている
(つづく)
お師匠はん…
呼び掛けられ我に返った
けれど
どこか借り着のように
いつまでも馴染まない言葉は
やはり私は異邦人なのだと
淋しくも、安堵させる
そして思い出す
あの日震えていた小さな少女を
降りかかる雪をはらうでもなく
軒下に佇む姿は
その時の自分と重なり
思わず傘を差し掛けていた
花街に憧れ
漸く一本になりはしたものの
水に馴染まぬ魚のように
息苦しい日々…
俯いたままの少女に
せめて待ち人が
早く来るよう祈りながら
ショールを着せかけた
…小さく、細い肩だった
それでも
手に残るほんの一瞬のぬくもりは
私の心に火を灯し
いつしか
この道を行く覚悟となった
折にふれ思い出すあの雪景色
待ち人は来たのだろうか
彼女の道は平らかだったろうか
その場所には
泣きたくて
泣けずに佇む二人が
今でも空を見上げている
(つづく)